2014 WTCC Round 13&14 Report

【FIA世界ツーリングカー選手権 第13戦&第14戦/スパ-フランコルシャン (ベルギー)】

WTCC発足初年度以来の開催となったスパ-フランコルシャン、
快晴の下で行われた2レースともにシトロエン勢が強さを見せた!!

WTCC Round 13&14

開催日 2014年6月21日-22日
開催場所 スパ-フランコルシャン
(ベルギー)
天候 第1レース:晴れ
第2レース:晴れ
路面 第1レース:ドライ
第2レース:ドライ
決勝周回数 第1レース:9周
第2レース:9周
(1周=7,004m)
2014 WTCC 第13&14戦

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2014年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)、カレンダーは後半戦に突入する。その皮切りとなったのはベルギーの名門コース、スパ-フランコルシャン。戦前から幾多の名勝負が繰り広げられてきたこのコースは、WTCCにとって発足した2005年以来の開催となる久しぶりのステージだ。

スパ-フランコルシャンはシリーズが開催されるコースの中で、最長となる7,004mの全長を誇る。さらに100mほどの高低差があるアップダウンの大きなロケーションで、高速コーナーを主体としたアベレージスピードの高い攻略し甲斐のあるレイアウトが特徴だ。
前述の通り、この地でWTCCが開催されたのはシリーズが発足した2005年の1度きり。初年度のみ他メーカーのタイヤが使われていたため、ヨコハマタイヤにとってWTCCとして挑戦するのは今回が初めてとなる。

まずは2回のフリープラクティスでレースウィークが幕を開けるが、この2セッションでともにトップタイムをマークしたのは、ランキングリーダーのホセ・マリア・ロペス選手(シトロエン)。
しかし、予選1回目では同じシトロエンを駆るのイヴァン・ミューラー選手がロペス選手を0.116秒おさえてトップに立つ。すると、12台が進出した予選2回目では逆にロペス選手がミューラー選手を0.507秒おさえてトップを奪い、熾烈なチームメイト・バトルがヒートアップしていく。

予選3回目を勝ち残った5台はミューラー選手、ロペス選手、セバスチャン・ローブ選手とシトロエンの3台、そしてヒューゴ・ヴァレンテ選手(シボレーRML)、ガブリエレ・タルクィーニ選手(ホンダ)という、第2大会のフランスと同じ顔ぶれになった。ヴァレンテ選手にとっては、フランス以来となる予選3回目への進出である。
そして、この予選3回目を制したのはミューラー選手。そして、2番手で続いたのはローブ選手で、3番手のロペス選手との間に割って入り存在感を見せつけた。

ポールポジションのミューラー選手を筆頭に、シトロエンがトップ3グリッドを独占してスタートを迎えた第1レース(第13戦)。スパ-フランコルシャンといえばコース内で局地的に雨が降る“スパ・ウェザー”が有名だが、一面の青空に恵まれてその心配は無さそうだ。

フォーメーションラップを経て全車がグリッドオン、前日の予選で11番手を獲得しながらもオイル漏れにより徹夜でエンジン交換を行ったドゥサン・ボルコビッチ選手のシボレーRMLは最後尾からのスタートとなった。
レッドシグナルが消灯、まずは順当にトップ3はポジションをそのままにターン1をクリアしていく。その後方ではターン3から5にかけてのオー・ルージュでヴァレンテ選手とタルクィーニ選手が接触、タルクィーニ選手は1周目を終えて9番手にまでドロップしてしまった。この接触についてはヴァレンテ選手にドライブスルーペナルティが科せられた。

そんなアクシデントを尻目に快走を続けたのはシトロエン勢。3周目にはロペス選手とローブ選手が最終コーナーからサイド・バイ・サイドで立ち上がり、そのままストレートを駆け抜けてターン1にアプローチするなど、白熱した2番手争いが演じられた。
そんなチームメイトバトルは最終ラップに決着し、ロペス選手がセクター2でローブ選手をかわして2番手に躍進。
一方のミューラー選手はトップの座を一度も脅かされることなく9周を走りきり、今季4回目のウィニングチェッカーを受けることに成功した。

リバースグリッドとなる第2レース(第14戦)。ポールポジションはジャンニ・モルビデリ選手(シボレーRML)、2番手はメルディ・ベナニ選手(ホンダ)、3番手がトム・コロネル選手(シボレーRML)というフォーメーションでスタートを迎える。
スタートを見事に決めたのはコロネル選手、フロントローの二台の間に割ってはいると、勢い良く加速してターン1までにトップを奪ってコーナーをクリアしていく。

その後方でも随所で激しいポジション争いが演じられ、コース幅いっぱい以上に使うWTCCらしい接近戦により、土が出てトラック上はダスティなコンディションへとなっていく。
そして、猛追を見せてきたのはシトロエン勢。8番手スタートのロペス選手は2周目の最終コーナーでモルビデリ選手をかわして3番手に浮上、同じ場所でミューラー選手も5位へとポジションをアップする。4周目にはセクター3でティアゴ・モンテイロ選手(ホンダ)の背後にピタリとつけたロペス選手、さきほどと同様に最終コーナーのシケインで鮮やかにかわすと遂に前を走るのはコロネル選手ただ一人という状況になる。

6周目にはコロネル選手の真後ろにつけたロペス選手。しかし、最大のパッシングポイントである最終シケインでは巧みなライン取りでロペス選手に付け入る隙を与えなかった。そのままレースは7周目に入り、ターン1でアウトからロペス選手が仕掛けるも、ここもコロネル選手が抑える。しかし、オー・ルージュの入口でロペス選手が猛チャージ、一気にコロネル選手をパスしてトップに躍り出た。

さらにこの周、レ・コンベの入口でモンテイロ選手をパスして3番手に浮上したミューラー選手がターン18の出口でコロネル選手をとらえると、最終シケインの進入までに先行して2番手を奪い、シトロエンがワン・ツー・フォーメーションを構築。
コロネル選手は最終ラップにモンテイロ選手と、その真後ろにつけていたローブ選手にプッシュされるが、これはかろうじてかわして3位表彰台を獲得。優勝はロペス選手で今季5勝目、ミューラー選手は2番手でのフィニッシュとなった。

TC2規定車両によって競われるYOKOHAMAトロフィーは、今回も2レースともにフランツ・エングストラー選手(BMW)が勝利。これにより、連勝記録を“6”へと伸ばした。

DRIVER VOICE

イヴァン・ミューラー 選手 [Citroen Total WTCC]

【今回の成績 : 第13戦 優勝 / 第14戦 2位】
第1レースは好スタートを切れたことで、勝利への鍵を手にすることが出来ました。1周目はタイヤの温度に気を配って走りましたが、思った通りのフィーリングを掴めたので2周目からはプッシュしてマージンを稼いでいけました。その後はローブ選手とロペス選手がバトルを繰り広げていたので、私はスリップストリームを使われるまでもなく逃げきることに成功しました。
第2レースではじわじわと順位を上げていけましたが、シトロエンはブランシモン・コーナーが速かったので、ライバル達をかわすことが出来ました。

ホセ・マリア・ロペス 選手 [Citroen Total WTCC]

【今回の成績 : 第13戦 2位 / 第14戦 優勝】
第1レースはそのほとんどで、ローブ選手と素晴らしい戦いをしました。私は彼がステアリングのトラブルを抱えていることを知っていたので、それを利用しようと考えました。最終ラップのラディオンで、若干のリスクもありましたが巧くコントロールしてパスすることが出来ました。
第2レースのスタートは慎重さを必要としましたが、ミューラー選手が言っていたように、私たちには2ヶ所のパッシングに適したポイントがあったので、それらを巧く使えましたね。

TECHNICAL INFORMATION

2005年以来となるスパ-フランコルシャンでのWTCC。この伝統ある高速型サーキットは、その特徴をリザルトから垣間見ることも出来る。予選ベストタイムはミューラー選手の2分23秒497だが、平均車速は175.71km/hに達する。ちなみに2005年に記録されたレコードは2分33秒158で平均車速は163.26km/h。最新のTC1規定車両では、実にラップタイムで10秒、平均車速では10km/h以上のアップという進化を遂げているのだ。

第1レースこそ比較的穏やかな展開となったが、第2レースは随所で激しいポジション争いが展開されるとともに、コースには大量の土が出てダスティなコンディションとなった。そんな中でも最後までヨコハマタイヤがハイスピードな接近戦を支え、特にパッシングポイントとなったシケイン進入では高速からのブレーキング競争が繰り返されたが、最終ラップまで接近戦が続いたことでも優れたタイヤパフォーマンスが実証された。