【全日本ジムカーナ選手権 第5戦/イオックス】
JGC Round 5
開催日 | 2014年7月19日-20日 |
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開催場所 | イオックスアローザ スポーツランド (富山県) |
天候 | 曇り |
路面 | ドライ |
参加台数 | 146台 (ヨコハマタイヤ装着車 50台) |
第5戦を迎えた2014年全日本ジムカーナ選手権はいよいよ後半戦に突入。シリーズ唯一のフルパイロンコースで争われるイオックスアローザ スポーツランドが今回の舞台となった。
週末は会場周辺に雨の予報が出ていたが、実際に雨が激しく降ったのは金曜日だけに留まり、公開練習日の土曜日、決勝日の日曜日ともドライコンディションの中で、各クラスの熱い戦いが繰り広げられた。
普段は駐車場として使われているイオックスアローザの路面は、タイヤへの攻撃性が高くグリップも高い反面、部分的に路面が補修されており、その補修面に乗ってしまうと滑りやすいという、瞬時の判断力と応用力が求められるコースだ。
それに加えて、今回は百戦錬磨の全日本ドライバーたちをも悩ませる難易度の高いレイアウトが採用され、戦いを大きく翻弄することとなった。
前半セクションは、比較的車速の乗る中速コースに8の字ターンや540度ターンを組み合わせた設定。後半セクションには3本のパイロンを回る通称「オムスビターン」も取り入れられたが、何といっても選手を悩ませたのが、フィニッシュ直前に設けられたダブルフリーターンだ。
フィニッシュラインに対して斜めに置かれたゲートパイロンを通過してターンし、再びゲートパイロンを戻ってターンしなければならないこのダブルフリーターンは、ゲートパイロン間の距離がわずか8メートルと狭く、通過後のスペースが狭いことが難易度を引き上げた。
そんなダブルフリーターンを見事に成功させ、全日本初優勝を飾ったのが、激戦区SA1クラスを戦う合田尚司選手だ。
第1ヒートではフリーターンで左→左のOの字ターンを誰よりもゲートパイロンに近い場所で成功させ、クラス唯一の1分9秒台に突入するトップタイムをマークする。しかし、第2ヒートではダブルフリーターンでパイロンタッチのペナルティを受けベストタイム更新ならず。残るは昨年のSA1クラスチャンピオンでありポイントリーダーの斉藤邦夫選手のみだ。
前半区間のタイムは合田選手にわずかに及ばないものの、ダブルフリーターンを含む後半区間で大きく巻き返す。しかしタイムは1分10秒台で合田選手の第1ヒートのタイムに届かず。
この瞬間、斉藤選手の猛追を振り切り、合田選手が全日本初優勝を成し遂げた。
SA1クラスと同じく激戦のPN3クラスでは、ADVAN A08Bを装着した森嶋昭時選手が、第1ヒートのダブルフリーターンで痛恨のパイロンタッチ。
後がない状況のなか、 第2ヒートは果敢にダブルフリーターンを攻め見事な逆転優勝。今季2勝目を飾りポイントリーダーに躍り出た。
圧倒的な強さを見せつけたのが、「パイロンキング」の異名を持つPN4クラスの岡野博史選手だ。
ボディの大きなランサーではパイロンを数ミリ単位でかすめるような際どいターンを成功させることが難しいが、岡野選手はギャラリーの溜息を誘うお手本のようなフリーターンを披露。第1ヒートのタイムを越える選手はなく、ウイニングランとなった第2ヒートでは、N3クラスにも迫るほどのタイムで今季4勝目。
シリーズ2番手の角岡隆志選手の順位によっては、次戦もてぎラウンドでいち早くタイトルが決まる可能性も出てきた。
ADVAN A050を使用するN2クラスでは、得意なパイロンターンを確実にこなした小林辰朗選手がポイントリーダーの座を死守。
さらにSA3クラスでも第1ヒートの3番手タイムからの大逆転で天満清選手が2連勝を飾り、各クラスでヨコハマタイヤユーザーが大活躍を見せた。
【今回の成績 : PN3クラス 優勝】
本当は第1ヒートにリスクの少ないターンを行い、確実にタイムを残しておきたかったのですが、パイロンタッチしてしまったので、第2ヒートはリスクを覚悟で難しいターンに挑戦しました。プレッシャーも大きかったのですが、そのようなターンをしないと勝負にならないと思ったからです。でも何とか成功できたので正直ほっとしています。
これでポイントリーダーにもなりましたが、まだ3戦残っているのでチャンピオンに向けてさらに頑張りたいと思っています。
【今回の成績 :PN4クラス 優勝】
第1ヒートではダブルフリーターンでクラッチミートが強すぎ、少しだけフロントが逃げてしまい、パイロンタッチしそうになってヒヤッとしました。第2ヒートは角岡選手がパイロンタッチしたことが分かったのでウイニングランになりましたが、さらにタイムを上げようと集中し直してアタックしました。
自分の予想以上にタイムを縮めることができたことも嬉しく思います。ADVAN NEOVA AD08Rもしっかりと高いグリップを発揮してくれました。
【今回の成績 :N2クラス 優勝】
第1ヒートは確実にタイムを残すことが重要だと思ったので、多少マージンを取ってアタックしました。タイヤはADVAN A050のG/Sコンパウンドを前後に装着しましたが、路面との相性も良く最後までグリップしてくれました。
チャンピオンを獲得するためには今大会が勝負どころだと思ったので、優勝できて嬉しく思います。
【今回の成績 :SA1クラス 優勝】
全日本選手権には2005年からSA1クラスに出場していますが、これまでの最上位は2位だったので、優勝できて非常に嬉しく思います。今回のダブルフリーターンは自信がなかったのですが、何とかうまくタイムを出すことができました。
マシンの調子が良くない状態だったのですが、メンテナンスを手伝ってくれた方々には感謝したいですね。
【今回の成績 :SA3クラス 優勝】
今回は第1ヒートのフリーターンで、いろいろ考えすぎて失敗してしまい、自分でもよく逆転できたと思っています。第2ヒートは自分を信じて確実に走ればタイムは出ると、スタート前に自分に言い聞かせてアタックしました。
気温や路面温度が、ADVAN A050のG/Sコンパウンドの性能を最大限に発揮できる状態だったことも勝利につながったのだと思います。
SA2クラスにRX-7で出場している高橋陽介選手は、大学自動車部時代にジムカーナの楽しさを知り、そこから10年間ジムカーナに打ち込んできた若手ドライバーだ。
JAF公認競技に出場し始めてからはまだ4年とキャリアは短いが、2012年にはJMRC関東チャンピオンシリーズのS2クラスで1勝を挙げシリーズランキング3位を獲得。2013年より全日本戦に挑戦を始めた。
昨年は最上位も9位と改めて全日本の厳しさを知ったシーズンだったが、今年は開幕戦から出場し、今回で2度目の6位入賞を果たすなど、徐々にスキルアップしている。
「昨年はまったく歯が立たずにシリーズでも15位でした。でも、今は成績は気にしていません。もちろんできるだけ上位に入賞するように努力していますが、全日本の先輩たちがどのように走っているか、どのようなことをやっているのかを肌で感じることが、自分の糧になると思っているからです。昨年は腕試しのつもりで全日本に出させていただきましたが、まったくダメだったので、逆に悔しくてもっと頑張ろうという気持ちになりました」
学生時代は毎年身に着けたいテクニックをテーマとして設定し、それを確実にマスターしてきた。そんな努力はこれからきっと実を結ぶに違いない。
「どんなクルマに乗ってもすぐに速く走れるようなドライバーになりたいですね」と語る高橋選手の今後の活躍に期待したい。
全日本ジムカーナ選手権のなかで、唯一ジムカーナ専用コースではなく、スキー場駐車場を使用しているのが、中部地区のイオックスアローザ スポーツランドだ。部分的に路面が補修されており、路面グリップがその都度変化していく難易度の高いコースでもある。全般的にはタイヤへの攻撃性の高い路面ではあるが、補修部分は滑りやすい傾向がある。
しかしそのような路面でも、路面変化に大きく惑わされず安定したグリップ力を発揮するADVAN A050の特性と、グリップ変化にうまく対応できた選手の組み合わせが好結果につながった理由だ。