2014 J-F3 Round 10&11 Report

【全日本F3選手権 第10戦&第11戦/もてぎ】

第11戦を終えて松下信治選手がランキング首位に浮上、
僅差のシリーズ争いは三つ巴の接戦で終盤戦が展開される!!

Japanese F3 Round 10&11

開催日 2014年8月23日-24日
開催場所 ツインリンクもてぎ (栃木県)
天候 第10戦:曇り
第11戦:晴れ
路面 第10戦:ドライ
第11戦:ドライ
決勝周回数 第10戦:14周
第11戦:20周
(1周=4,801m)
参加台数 17台
2014 全日本F3選手権 第10&11戦

第10戦は勝田選手がスタート決めて1コーナーを奪った

大量マージンを得て第10戦は勝田選手が今季初優勝

第10戦優勝の勝田選手(右)とF3-Nクラスを制した小泉洋史選手(左)

第11戦のポールポジションは高星明誠選手

第11戦のF3-Nクラスも小泉選手が制して3連勝

第11戦は高星選手が優勝を飾った

激戦続く全日本F3選手権は、ここからいよいよシリーズ後半戦に突入。第10戦、第11戦の舞台は今季2回目のレース開催となる、ツインリンクもてぎである。
金曜日に2回行われた専有走行は猛暑に見舞われ、トップタイムは佐々木大樹選手が記したものの、1分47秒台という低調なものに。このあたりがターゲットタイムとなるかと思われたものの、土曜日になると天候は一転し、サーキット上空には雲が浮かぶようになる。

その結果、気温、路面温度ともに著しく下がり、コンディションは向上。第10戦の予選では清原章太選手が45秒537をマークして初のポールポジションを獲得し、この後に勝田貴元選手、松下信治選手、高星明誠選手、山下健太選手がコンマ3秒と遅れず続くこととなった。
連続ポールを狙った清原選手だが、今ひとつ走りにまとまりを欠いて5番手に。代わってポールには高星選手が46秒085をマークしてつける。第11戦でも松下選手、勝田選手、佐々木選手が僅差で続いて、両レースとも激戦を予感させた。

一方、F3-Nクラスでは小泉洋史選手と久保凛太郎選手がトップを分け合った。しかし、小泉選手は第11戦を2番手に留めたものの、久保選手の第10戦は3番手に甘んじたばかりか、前回の接触によるペナルティとして3グリッド降着が。その結果、6番手から挑まなくてはならず、明暗を分ける形となっていた。

土曜日のうちに行われた決勝レース第10戦は、14周での戦いとなった。
スタートを誰より決めたのは勝田選手。ストレートエンドでポールの清原選手と並び、1コーナーの立ち上がりで前に出る。一方、松下選手は4コーナーでオーバーシュートし、高星選手に先行される。
2周目突入時点での勝田選手と清原選手の差は約1秒。逆転の機会を狙っていた清原選手ながら、振動に悩まされるようになり、4周目の1コーナーでコースアウト。そればかりか、130Rでコースアウトし、無念のリタイアを喫することに。
これで大量のマージンを得た勝田選手は、そのまま逃げ切り、今季初優勝を飾ることになった。2位は高星選手、3位は山下選手が獲得。

F3-Nクラスではスタートを決めた小泉選手が、そのまま逃げるものと思われたが、中盤になって三浦選手と久保選手が競り合いながら急接近。最後は三つ巴のトップ争いが期待されたものの、三浦選手と久保選手は序盤のうちにタイヤを酷使していたため、ラストスパートが許されず。辛くも小泉選手が振り切ることとなった。

日曜日に行われた決勝レース第11戦は、6周長い20周での戦い。それだけでも過酷なレースになることは明らかだが、金曜日の猛暑が戻ってきたからたまらない。荒れ模様となることも覚悟の上で、ドライバーたちはマシンをグリッドに並べることになった。

好スタートを切ったのは松下選手で、1コーナーにインから飛び込むが、アウトから大胆なラインをとった高星選手に抑え込まれて逆転はならず。予選順位のまま、このふたりの背後に勝田選手と佐々木選手が続き、4台でトップグループを形勢。それぞれけん制し合うが、大きなミスを冒さないから順位も動かない。
それでも折り返しを迎える頃には高星選手と松下選手は、ともに間隔を1秒に広げるようになり、ほぼ単独走行に。その後も勝田選手と佐々木選手の3番手争いは最後まで続いたものの、順位が入れ替わることは最後までなかった。

しかし、山下選手が6位に留まったことで、ランキングにも変化が。松下選手が73ポイントでトップに浮上し、1ポイント差で高星選手が2位、山下選手は3位に後退するも、わずか3ポイント差とあって、残り4レースの盛り上がりが大いに期待されるようになった。

F3-Nクラスでは小泉選手が勝ち、これで3連勝を達成するとともに6勝目をマークし、悲願の王座に向け、確実な前進を果たしている。
久保選手をスタートでかわした小泉選手は、序盤こそ久保選手と山口大陸選手を置いたものの、中盤からそのふたりのバトルが激しくなるにつれ、徐々に差を広げていくように。そのままアクセルを緩めず逃げていくこととなった。最後まで続いた2番手争いは、辛くも久保選手が山口選手を振り切ることに。

DRIVER VOICE

勝田貴元 選手 [PETRONAS TOM’S F312]

【今回の成績 : 第10戦 優勝 / 第11戦 3位】
今年ここまでずっと流れをつかめずにいたので、ここでようやく勝てて嬉しいです。
第10戦は予選2番手だったのでスタートさえ決めて、S字までに前に出られれば、後は逃げ切れると思っていましたが、そのとおりの展開になりました。第11戦は3番手からのスタートで、同じようにオープニングラップのうちに2台をかわそうとしたのですが、うまくいかなかったですね。長いレースだし、暑かったからタイヤマネージメントさえしっかりやっていれば、後半にチャンスが生まれるかと思ったのですが、実際には序盤のうちにリヤタイヤを使い切ってしまって……。
後半の4戦は、とにかく僕はやるべきことをやって、全力を尽くしていくつもりです。

高星明誠 選手 [B-MAX NDDP F312]

【今回の成績 : 第10戦 2位 / 第11戦 優勝】
第10戦の予選こそ失敗して4番手だったのですが、レースではなんとか表彰台に上がろうと。スタートが良く、その後の位置取りも良かったので3番手に上がれて、その後にも1台が飛んでくれたので、2位になることができました。
第11戦はポールでしたから、スタートさえミスしなければ勝てるはずと、そのあたり強く意識していったら、少し失敗気味だったんですが、なんとかトップで1コーナーを通過でき、そのポジションを最後まで保つことができた感じです。
ファステストラップが取れなかったので、ランキングのトップに立つことはできませんでしたが、この勢いで次のSUGOも富士も連勝して、チャンピオンを狙っていきます!!

小泉洋史 選手 [Net Move Hanashima Racing]

【今回の成績 : 第10戦 6位(F3-Nクラス 優勝) / 第11戦 10位(F3-Nクラス 優勝)】
今回は金曜日の練習走行からF3-Nクラスは接戦で、予選も誰がポールをとってもおかしくない状態でした。その状況の中で2番手、トップを獲れたので、いずれのレースもとにかくスタートに集中しました。
2回ともうまくいってトップに立てたのですが、第10戦は競り合っていた三浦選手と久保選手に追い立てられてしまいました。でも、第11戦では久保選手と山口選手が激しく争っている間に、逃げ切れたという感じでしたね。
タイトルのことはまったく意識していないわけではないですが、とにかく一戦、一戦大事に戦っていきます。ミスなく走れて、勝てればいちばんいいですし、逆に言うとワンミスが命取りのカテゴリーですからね!

FEATURED DRIVER

■得意と公言していたもてぎ、有言実行の成績を残した高星明誠選手!!

F3にステップアップする前のFCJ(フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン)を戦っていた頃から、「もてぎは得意」と公言していたのが、高星明誠選手(写真)だった。実際、昨年もチャンピオンを獲得したF3-Nクラスでは、もてぎで5戦4勝。その言葉がブラフでないことを実証していた。
それだけに、オーバーオールを狙える体制に移った今年も、2大会5戦がもてぎで開催されることで、よりチャンピオンシップを有利に戦えると思っていたものの、5月の3連戦では優勝どころか第3戦で3位につけるに留まり、表彰台すら一度しか上がれずにいた。

[Photo]

今回も予選1回目は予選4番手。もし、このままの成績でおさまってしまっては「得意」との看板も下ろさざるを得なかったものの、2回目ではエンジニアとのコミュニケーションも完璧に、セットも走りもしっかりアジャスト。その結果、ポールポジションを獲得することになった。そうやって流れを自分で導いていったこともあり、どうやら勢いに乗ったのは間違いない。
「得意なコースでポールを獲って、それでレースでも優勝できれば、すごい自信になりますからね」と語っていた高星選手は、やはり有言実行とする。第10戦で2ポジションアップとなる2位でフィニッシュし、続く第11戦はポール・トゥ・ウィンとしたからだ。

この結果、ランキングをひとつ上げ、トップに躍り出た松下信治選手とはわずか1ポイント差に。
「途中、足踏みもありましたが、前回の富士で勢いを取り戻せたような気がします。ファステストラップも獲れれば、同点ながらトップに立てたので、それができなかったのは残念ですが、ようやくスタートラインに立てた気もしますので……。SUGOでもプッシュして、富士でも勝って、チャンピオンを獲得したいと思います」と高星選手。
有言実行のドライバーが、どこまでそのとおりとするか、大いに注目したいところだ。