2014 J-F3 Round 8&9 Report

【全日本F3選手権 第8戦&第9戦/富士】

富士が舞台の第8&9戦は高星選手と松下選手が勝利、
シリーズ争いはますますヒートアップ!!

Japanese F3 Round 8&9

開催日 2014年7月12日-13日
開催場所 富士スピードウェイ (静岡県)
天候 第8戦:曇り
第9戦:曇り
路面 第8戦:ドライ
第9戦:ドライ
決勝周回数 第8戦:15周
第9戦:21周
(1周=4,563m)
参加台数 15台
2014 全日本F3選手権 第8&9戦

第8戦は高星選手がP.P.からスタート

第8戦のF3-Nクラスを制した久保凛太郎選手

第8戦のウィナー・高星選手(右)とF3-Nクラスの勝者・久保選手(左)

第9戦は松下選手がポール・トゥ・ウィン

第9戦のF3-Nクラス、小泉選手が三浦選手を逆転

第9戦の表彰台を飾った顔ぶれ

レースウィークの木曜日には台風8合接近の影響で、大雨に見舞われた全日本F3選手権第8戦、第9戦の舞台である富士スピードウェイ。
公式練習が行われる金曜日には午前中のセッションこそ開始からしばらくは路面も濡れていたものの、瞬く間に乾いていったばかりか、午後のセッションはまさに台風一過の好天にすら恵まれることとなった。その状況は土曜日になっても変化がなく、むしろ厳しい暑さをもライバルとすることを覚悟させた。

予選では、第8戦は高星明誠選手が、第9戦は松下信治選手がポールポジションを獲得。第8戦では勝田貴元選手が高星選手に続くも、第9戦では直線の伸びを欠いて5番手に留まることに。山下健太選手が第8戦の3番手から、第9戦ではひとつ順位を上げ、高星選手を抑えていた。
松下選手は「第8戦の予選では走りに課題を残したのですが、第9戦では完璧に修正することができました」と、4番手からの躍進に、決勝に対する自信をうかがわせた。一方、F3-Nクラスでは宿命のライバル、久保凛太郎選手と小泉洋史選手がトップを分け合っていた。

暑さがライバルに……と冒頭では述べたものの、予選が終わって間もなく上空には灰色の雲が浮かぶようになり、気温も下がって条件はやや穏やかになっていた。
土曜日のうちに15周で争われる、決勝レース第8戦でポールシッターの高星選手は好スタートを切るも、勝田選手が背後について離れず。高星選手の虚を突いて、セクター3で勝田選手は前に出る。
だが、勝田選手はそのまま逃げていくことを許されず、それどころか3周目に高星選手に抜き返された後、思うようにペースが上げられなくなり、徐々に順位を落とすことに。代わって山下選手が2番手に浮上するが、高星選手にプレッシャーをかけるまでには至らなかった。高星選手は、第2戦以来となる2勝目をマークした。
3位でゴールしたのは佐々木大樹選手で、予選7番手からの大躍進に。ファステストラップこそ高星選手に譲ったが、コンスタントラップに優れることで徐々に順位を上げていた。

F3-Nクラスではスタートで小泉選手にトップを譲った久保選手ながら、ADVANコーナーの進入で逆転し、1周目のうちにトップに返り咲くことに。2周目のコカコーラコーナーで久保選手と接触した小泉選手は、スピンによって最後尾まで退いたものの、その後の追い上げで山口大陸選手に続く3位でフィニッシュした。逃げ切った久保選手は、これが4勝目。

日曜日になると、天気はより悪化して、いつ雨が降り始めてもおかしくない状況に。幸い、21周で争われる第9戦決勝レースは、最後までコンディションを保ちはしたが……。
スタートダッシュはポールシッターの松下選手より、山下選手の方がやや優ったものの、1コーナーまでにしっかりけん制されて前に出られず。トップをキープした松下選手は、最後まで山下選手の追随を許すことなく、それどころかペースを合わせて走る余裕さえ終盤には見せていた。
この4勝目で松下選手は、山下選手にポイントランキングで1ポイント差にまで迫ることになった。そして3位はまたしても佐々木選手が獲得。第9戦も7番手からのスタートだったものの、激しい追い上げを見せ、ラスト3周でチームメイトの高星選手をとらえていた。

F3-Nクラスでは、久保選手が好スタートを切ったものの、1コーナーでの追突により、早々にリタイアする波乱が。混乱をかいくぐり、クラス5番手だった三浦愛選手がトップに立ったが、5周目のストレートで小泉選手が逆転。三浦選手の抵抗をかわして、4勝目をマークした。3位は湯澤翔平選手が獲得した。

DRIVER VOICE

高星明誠 選手 [B-MAX NDDP F312]

【今回の成績 : 第8戦 優勝 / 第9戦 4位】
第8戦のスタートは悪くなかったので、トップで1周目を終えられると思っていたのですが、自分のミスというか勝田(貴元)選手がすごい勢いで迫ってきたので、抜かれてしまいました。でも、スピードは僕の方があったので、早い段階で抜き返すことができました。
中盤戦に入ってから、なかなか勝てずにいたので、ここで勝てて本当に良かったです。でも、第9戦はスタートで前に出られなかったのが、最後まで響いてしまいましたね。

松下信治 選手 [HFDP RACING F312]

【今回の成績 : 第8戦 4位 / 第9戦 優勝】
第8戦は激しいバトルを繰り広げたせいでタイヤを傷めてしまい、思うような走りができませんでしたが、実際には僕らのクルマはタイヤの保ちがいいことを練習走行から確認できていたので、ポールからスタートも決めてトップに立てた第9戦では、何も心配していませんでした。
もてぎの3連勝以降、ちょっと取りこぼしもあったので、この勝利でやっと取り戻すこともできました。自分のレベルの高さを確認できたので、自信を持って残りのレースを戦えます。

久保凛太郎 選手 [CG ROBOTル・ボーセF308]

【今回の成績 : 第8戦 8位(F3-Nクラス 優勝) / 第9戦 リタイア】
天国と地獄を、このレースウィークでは見てしまいました。第8戦ではスタートでこそ出遅れたのですが、1周目のうちにトップに返り咲くことができて。ただ、レーシングアクシデントではありましたが、接触で小泉選手をスピンさせてしまったことは申し訳なく思います。
接触の際に手を痛めて、かばいながらの走行だったのですが、逃げ切れて良かった。逆に第9戦はスタートがうまくいったのですが。決して無理をしたつもりはなかったのですが、残念です。

小泉洋史 選手 [Net Move Hanashima Racing]

【今回の成績 : 第8戦 10位(F3-Nクラス 3位) / 第9戦 7位(F3-Nクラス 優勝)】
第8戦で悔しい思いをしたので、気持ちを落ち着かせて第9戦に挑みました。皆さんの励ましで、落ち着いてスタートを切ることができたのですが、後ろから迎撃ミサイルが(笑)。
でも、見えていたのでかわすことができたのはいいのですが、三浦愛ちゃんに抜かれてしまいました。愛ちゃんのペースがすごく速く、一時はこのまま2位を覚悟したんですが、何とか前に出られて。でも、ひとつミスをすれば抜き返されると思い、最後まで集中して走りました。

FEATURED DRIVER

■軽自動車による新たなワンメイクレースが産声をあげた!!

また、ひとつ新たなワンメイクレースが誕生した。「N-ONE OWNER’S CUP」はホンダの軽自動車、N-ONEのFFターボを用い、ナンバーつきレースである上に、CVTミッションを装着するのが、特徴のひとつである。

さらにもうひとつの特徴は、純正装着されているタイヤもしくはラベリング制度にて定められている低燃費タイヤを装着することが定められれている点だ。メーカーや銘柄は自由であるものの、開幕戦に出場した15台のうち、4台を除きヨコハマタイヤが使用され、その高い性能が大いに評価されていた。ちなみにヨコハマタイヤユーザーの内訳は、10台がBluEarthで、1台がECOS。サイズはほとんどが165/55R15だった。

HondaN-ONE OWNER’S CUP

記念すべき開幕戦で優勝を飾ったのは、BluEarthを装着した岸野治男選手。ヴィッツレースでチャンピオンの経験を持つナンバーつきレースの達人が、3台でのトップ争いにおいて、貫禄を示すことになった。

「休みを返上してクルマを作っていたので、完成したのが金曜日。まだ完璧と言える状態ではなかったので、予選は苦戦しましたが、勝てて良かったし、楽しいレースができました。タイヤだけは何回かテストできて、その中でいちばん良かったのがBluEarthで、決勝でも最後まで性能を保ってくれました」と、勝因のひとつとしてタイヤも挙げてくれた。

なお、CVTミッションにはパドルシフトも装着されるが、「使っていません」とのことで、「初心者には、ヒール&トゥでぎくしゃくしちゃうこともないので、お薦めしたいですね」と語ってくれた一方で「パワーが少ないので、ヴィッツ以上にミスとかラフな操作がタイムに影響を及ぼしますね」と、難しさもあることもつけ加えていた。
リミッターが約140km/hで効くため、誰でも御しやすく、怖さもそう感じないだろう。何よりリーズナブルにできるレースとして、これから人気を高めそうだ。