2014 J-F3 Round 6&7 Report

【全日本F3選手権 第6戦&第7戦/岡山国際】

岡山での第6戦は佐々木大樹選手が初の総合優勝、
F3-Nクラスは2戦ともに小泉洋史選手がウィナーに輝く!!

Japanese F3 Round 6&7

開催日 2014年6月14日-15日
開催場所 岡山国際サーキット (岡山県)
天候 第6戦:晴れ
第7戦:晴れ
路面 第6戦:ドライ
第7戦:ドライ
決勝周回数 第6戦:18周
第7戦:25周
(1周=3,703m)
参加台数 15台
2014 全日本F3選手権 第6&7戦

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岡山国際サーキットが舞台の全日本F3選手権は、第6戦は松下信治選手が、そして第7戦は勝田貴元選手がポールポジションを獲得。しかし、ふたりとも連続でポールを奪えなかった理由として、松下選手は「クリアラップが取れなかった」からとし、勝田選手は「コースアウトしてしまった」からという。
決勝レースが終わって振り返ってみると、ふたりが完璧な流れをつかんでいなかったからではないか、と思えてならない。というのも、松下選手も勝田選手もこのレースウィーク、勝ちに恵まれなかったからだ……。

第6戦の決勝では、「敗因はすべてスタート」と松下選手が語るほど。久々のフロントローに並んだ佐々木大樹選手と動き出しはほぼ同時だったものの、その後の加速が鈍ったことにより、逆転を許すことに。
トップに立った佐々木選手は、わずか1周で1秒のリードを築くとともに、3周目にはファステストラップも記録。終盤になって、わずかに松下選手の接近を許すも、プレッシャーを感じるまでには至らず、2012年のF3-Nクラス王者でもある佐々木選手が、初めての総合優勝を飾ることになった。
3位にはオープニングラップのヘアピンで勝田選手をかわした高星明誠選手が、そのままポジションをキープすることになった。

第7戦の決勝ではポールシッターの勝田選手が、1コーナーへのホールショットに成功。予選2番手だった松下選手はフォーメーションラップでエンジンがかからず、ピットスタートを強いられたこともあって、2番手で続いた山下選手に2秒のギャップを築くと、ペースをコントロールして終盤の追い上げにも対応できるよう対処していた。
それでもなお、ギャップは広がり続けていたものの、19周目に電気系トラブルによって勝田選手が失速。すぐ復活なったものの、その脇を無情にも山下選手ばかりか、佐々木選手もすり抜けていく。辛くも3番手はキープしたが、表彰台に立っても勝田選手に笑顔は当然見られなかった。

労せずして得た2勝目ながら、これで山下選手はランキングのトップに浮上。1周遅れでのピットスタートになりながらも、松下選手はファステストラップを記録し、貴重な1ポイントを獲得する抵抗を見せていた。なお、佐々木選手は2戦連続で表彰台に立ち、ここまで抜け出せずにいたトンネルからの脱出を強くアピールした。

一方、対照的に専有走行からの勢いを最後まで維持したのが、F3-Nクラスの小泉洋史選手。
第6戦の予選こそ「控えめだった」と語り、久保凛太郎選手に続く2番手だったものの、第7戦の予選を含め、そこまですべてのセッションでトップに。第6戦の決勝レースでは久保選手のスタートミスに乗じ、トップに躍り出て、そのまま逃げ切りに成功。2位の久保選手に7秒の差をつけることとなった。3位は湯澤翔平選手が獲得。

第7戦では予選トップから、湯澤選手の好スタートに一瞬だけ危機を覚えるも、逆転は許さず。中盤以降は湯澤選手を振り切り、連勝ばかりか目標としていた10秒差でのフィニッシュも果たすこととなった。
3番手スタートだった久保選手は、2周目のアトウッドコーナーで単独スピンを喫し、6位でのフィニッシュがやっとだったこともあり、小泉選手は初めてランキングのトップに立つことにもなった。3位は山口大陸選手が獲得した。

DRIVER VOICE

佐々木大樹 選手 [B-MAX NDDP F312]

【今回の成績 : 第6戦 優勝 / 第7戦 2位】
岡山のコースはとにかく抜き難いので、第6戦は予選2番手だったこともあり、とにかくスタートに賭けていました。松下選手も出だしは良かったのですが、その後の加速が鈍り、1コーナーで前に出ることができ、その後はミスなく走り続けられれば、優勝できると信じていました。実際、そのとおりになって、いいレースができたと思いますし、早く勝ちたい、期待されているのだから……という焦りというか使命感から、ようやく解放されることができました。
第7戦は4番手スタートなので、序盤はあえてプッシュせずタイヤを温存して、最後の10周にスパートをかけようと思っていたので、そのとおりの展開になったのは良かったです。
次の富士は得意なコースだし、仮にスタートを失敗しても抜き返せるので、本当の速さがあれば、また勝てると思います。今度こそ予選1位からの優勝で、一発の速さも見せて連勝したいですね!

山下健太 選手 [PETRONAS TOM’S F314]

【今回の成績 : 第6戦 5位 / 第7戦 優勝】
第6戦は1周目にアトウッドカーブでコースアウトしてしまいました。集団で入っていって僕はブレーキを遅らせたのですが、その先頭はブレーキが早くて。避けなければ、チームメイトの勝田選手に当たっていたでしょうから……。なまじ苦手なスタートが決まったのが、かえって悪かったのかもしれません。
逆に第7戦では勝田選手に続いて1コーナーに飛び込んだのですが、思った以上にアンダーステアがきつくなり、やがてペースを上げられなくなってしまって。そうしたら勝田選手がトラブルで遅れ、自分が一番になったのですが、何もせずに勝ってしまったという印象が強いです。
何が運が良くて、悪いのだか分からなくて、第7戦の勝利も素直には喜べないのですが、次の富士では自分の実力で勝って、すっきり喜びたいと思います。

小泉洋史 選手 [Net Move Hanashima Racing]

【今回の成績 : 第6戦 9位(F3-Nクラス 優勝) / 第7戦 8位(F3-Nクラス 優勝)】
第6戦は予選こそ2番手でしたが、決勝のペースには自信があったので、スタートさえ決めれば勝てるんじゃないかと思っていました。実際にトップに立ててからは、いいレースができたと思います。
第7戦は2回目の予選トップになれたからには、このポジションをいかせるようにと、とにかくスタートに集中しました。ところが、湯澤選手がすごくいいスタートを切って、しばらくぴったり後ろについてきたので、私はとにかくプッシュ、プッシュで!
第6戦は7秒差で勝てたから、第7戦は少し周回が多い分、10秒差を目指しました。そのとおりになったのですが、実は最後の方、タイヤがかなり厳しかったですね。ギリギリの感じは正直ありました。これでランキングもトップのようですが、あまり意識せず、今後も毎レース、ポール、そして優勝を、全セッショントップの完全勝利を目指していきます!

FEATURED DRIVER

■山下健太 選手

凡人ならば優勝しただけで、たとえどんな展開であろうと喜ぶものだが、そうでない者には勝ったなりの内容も重視されるようだ。別項のコメントにもあるとおり、「何もせずに勝ってしまった」や「素直に喜べない」と語ったのは、第7戦のウィナー山下健太選手。
10代前半からカートレースを始め、長らく勝負の世界に身を置く「戦士」ならではの意識だと改めて実感させられた。きっと彼らは単純に勝つことよりも、誰より速く走れたことを重視するのだろう。

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しかしながら、山下選手は華々しいキャリアの持ち主でもある。
全日本カート選手権での活躍が認められ、16歳で限定Aライセンスを取得できたのもそうだし、フォーミュラにステップアップしたその年、2012年にはSuper-FJのもてぎシリーズでチャンピオンを獲得。翌’13年には、フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)とF4東日本シリーズで二冠獲得を果たしてもいる。
今年は名門トムスよりF3へ、それも通常のパターンであるF3-Nクラスを経ずしてステップアップを許されたあたり、期待の高さをうかがうことができる。
もちろん、そんな期待に応えて第1戦でデビューウィンを達成。その後も表彰台に上がり続けて、記録は第6戦のコースアウトで途絶えるものの、第7戦の2勝目で、いったんは松下信治選手に奪われたランキングトップに返り咲くこととなった。

流れを引き戻した山下選手が、ここからの後半戦でどんな走り、どんな内容のレースを見せるのか、大いに楽しみである。