2014 JDC Round 6 Report

【全日本ダートトライアル選手権 第6戦/野沢】

4年ぶりに全日本選手権が開催されたモーターランド野沢、
ADVAN A036装着車がSA2クラスとSC2クラスを制した!!

JDC Round 6

開催日 2014年8月3日
開催場所 モーターランド野沢
(長野県)
天候 晴れ
路面 ハーフウェット(散水) ~ ドライ
参加台数 147台
(ヨコハマタイヤ装着車 49台)
2014 全日本ダートトライアル選手権 第6戦

4年ぶりの全日本選手権開催となったモーターランド野沢

 SA2クラス 優勝・荒井信介選手

 SC2クラス優勝・田口勝彦選手

 Dクラス2位・河内渉選手

 PN1クラス3位・渡辺賢次選手

 PN2クラス 2位・佐藤秀昭選手

全8戦で争われる全日本ダートトライアル選手権は、この第6戦を含めて3戦を残すのみとなった。今シーズンは各クラスともチャンピオン争いの行方が混沌とした状況となり、この大会でタイトルの行方が決まる可能性があるのはPN1クラスのみ。その他の8クラスは、まだまだ予測不能な状態だ。

その第6戦の舞台となったのが、長野県の野沢温泉村郊外に位置する「モーターランド野沢」だ。
2010年に全日本戦を初開催したこのコースは、2011年3月12日に発生した長野県北部地震の影響によりコースの一部が崩落するという甚大な被害を受け、全日本戦の開催を断念。その後、2013年春に改修工事を終え、今年は4年ぶりに全日本戦として復活を果たした。

山の高台に位置し、ギャラリースタンドからコース全体を一望できるこのコースは、緩やかな傾斜を持っているのが大きな特徴だ。そのため、同一コーナーでも上り方向と下り方向では必然的に攻め方が異なるうえ、マシンが跳ね上がるようなギャップやうねりができやすいという路面の特性から、攻略が難しいコースのひとつとして知られている。
今回も第2ヒートの後半には路面の荒れ方が激しくなり、ギャップやうねりにマシンの挙動を乱され、涙を飲んだドライバーが多かった。

そういった状況のなか、路面コンディションをしっかりと読み切り、難コースを攻略したのがSA2クラスの荒井信介選手だ。硬質路面ながらも路面の上にパウダー状の土が乗っている状態で、超硬質路面用のADVAN A036で挑んだ荒井選手は、卓越したトラクション性能とハンドリング性能を武器に、滑りやすい路面を見事に攻略。マシンの挙動が乱れるギャップを意図的に避ける巧みなライン取りで、2位に0.9秒差をつけ今季初優勝を飾った。
今季は3戦連続2位など、優勝まであと一歩の大会が続いた荒井選手だが、この価値ある1勝により残り2戦の結果次第では、逆転チャンピオンの可能性も見えてきた。

また、SC2クラスでは田口勝彦選手が第1ヒートからライバルを圧倒。コーナーのアプローチにできたギャップの影響を受け、走行ラインがアウト側に膨らんでしまうマシンが多いなか、田口選手はそのギャップに対し、最も影響を受けにくい直進状態で次々とクリア。ギャップが少ない固い路面では豪快なドリフト走行で、ギャップが多いコーナーはしっかりとグリップさせることを意識したメリハリの効いた走りで、両ヒートを制するとともにオーバーオールタイムも獲得した。
これで今季2勝目を挙げた田口選手は、シリーズポイントではまだ首位と差があるものの、これまで2戦を欠場しているため、残り2戦で獲得したポイントをそのまま有効ポイントに計上することができる。6戦を終えてウィナーが4人という混戦が続くSC2クラスのなかで、残り2戦の台風の目となることは間違いない。

最もシビアな戦いとなったのが、Dクラスだ。第2ヒートはわずか0.3秒のなかに5人のドライバーが並ぶという大激戦のなか、河内渉選手がいぶし銀の走りで2位に入賞。今季2勝を挙げている谷田川敏幸選手は、シフトチェンジの際にギヤが抜けてしまうというアクシデントに見舞われ、惜しくも5位に終わった。
だが、このクラスはシリーズ2勝以上挙げているドライバーはひとりだけで、それ以外はすべてウィナーが異なる激戦区。残り2戦でも熾烈な戦いが繰り広げられることが予想される。

そのほか、PN1クラスでは新型フィットを投入した渡辺賢次選手が3位に入賞、PN2クラスでは佐藤秀昭選手が2位に入賞するなど、各クラスでヨコハマタイヤ装着車が健闘を見せる結果となった。

DRIVER VOICE

荒井信介 選手 [クスコ アドバン itzz ランサー]

【今回の成績 : SA2クラス 優勝】
それにしても第2ヒートはすごい路面でしたね(笑)。少しでも油断すると、ギャップであおられてアウト側まで飛んで行ってしまうんです。こういった荒れた路面の場合、第1ヒートからしっかりとタイムを残しておきたいところですが、その第1ヒートはドライビングミスをしてしまいました。
逆に第2ヒートは、そのミスをしっかりとカバーすることができたので、そこから良い流れのまま走り切ることができました。残り2戦、最後まで諦めずにしっかりと戦っていきたいですね。

田口勝彦 選手 [HKS マッドクロック ランサー]

【今回の成績 : SC2クラス 優勝】
バンピーな路面を走る場合、できるだけクルマを横に向けないで、縦方向のままクリアした方がタイムへの影響が少ないのです。もうひとつは、ダンパーの減衰力を3クリックくらい固くして、バンプした時に沈み込みすぎないようにして、走破性を高くすることも有効です。そういったラリーで培ったノウハウを活かすことができました。
第5戦は欠場したのですが、自分としては第4戦から2連勝。このまま残り2戦も頑張ってシリーズ上位を狙って行きます。

渡辺賢次 選手 [HC 栃尾 FIT3RS ロデオ]

【今回の成績 : PN1クラス 3位】
荒れた路面のなかで、勢いを止めないように走ったのですが、結果的には路面の影響を少し受けてしまったようです。それでも、新型フィットでは初表彰台ですので、うれしいですね。第2ヒートで普段はあまり使わないADVAN A036を装着したのですが、グリップ力が高いだけではなく、クセのないタイヤなので非常にコントロールしやすく乗りやすく感じました。

佐藤秀昭 選手 [KYB ADVAN オクヤマ 86]

【今回の成績 : PN2クラス 2位】
第2ヒートはADVAN A036を装着したのですが、土の路面が多く残っていて、自分の場合はADVAN A053の方が路面に合っていたかな? と思いました。土の路面でアンダーステアが強く、グリップを意識して走るよりも後輪駆動っぽくドリフト気味で走ればよかったかなと、反省しています。

河内 渉 選手 [ADVAN KYB ATS ランサー]

【今回の成績 : Dクラス 2位】
第2ヒートは路面のうねりがひどく、クルマを壊さないようにカバーしながら走る必要がありました。攻め切って走るのにはリスクが高すぎる路面で、マージンを保ちながら走らざるを得ない状況でしたね。ですので、最初にフロントがしっかりとインに入ってくれるタイヤの影響は大きかったと思います。攻め切ることができないなかでの2位は、ADVAN A036のおかげだと思います。

FEATURED DRIVER

■Dクラス : 酒井洋二 選手

長野県と新潟県の県境に位置し、1994年5月にオープンしたモーターランド野沢は、関東地区の地方選手権も盛んに開催されており、特に地元・長野県の選手にとっては、このコースをホームコースとして親しむ選手も多い。競技歴34年の大ベテラン、長野県在住の酒井洋二選手も、そのひとりだ。

「皆さん、野沢のうねりは嫌だと言うんですよ。でも、私はこの野沢特有のうねりが大好きなんです。うねりで思い切りジャンプをする、ダートラの醍醐味があると思います。うねりがあればあるほど走り甲斐がありますね」という酒井選手。

「ここ最近は仕事が忙しくて、なかなか野沢を走る機会がないんです。だから今回は、思い切り野沢を楽しみたいと思います」と、久々のホームコースを満喫していた。

「昨年からランサーで、Dクラスにエントリーしています。Dクラスというのはやっぱり憧れのクラスですから、本当はDクラスで走ることができたらきっぱりと競技を辞めようと思っていました。ところが、どうにもこうにも辞められない。楽しくて仕方がないんですよ(笑)」という酒井選手は、アルトワークスでの参戦時代に2度の全日本優勝を飾っている実力者でもある。

「ADVAN A036が大好きです。グリップ感とコントロール性のバランスが良く、私の走り方にも合っていると思います。いつかはA036を履いてDクラスの表彰台に上りたいですね」

ベテランドライバーの飽くなきチャレンジは続く。

TECHNICAL INFORMATION

前日の公開練習後に土砂降りの雨が降ったが、決勝の第1ヒートは好天に恵まれたことに加えて路面状態も良好なコンディション。まだ路面に野沢特有のパウダー状の土や砂利が残っている状況だったが、SA2クラスから超硬質路面向けのADVAN A036を装着できる状況となった。
一方、第2ヒートは、そのSA2クラス近辺から路面のギャップが激しくなり、路面のグリップは第1ヒートよりも向上しながらも荒れた路面の影響でタイムアップが難しい状況ともなった。

そのなかで、SA2クラスの荒井信介選手とSC2クラスの田口勝彦選手が優勝を奪い、ADVAN A036の卓越したグリップ力とコントロール性を遺憾なく発揮することができた1戦となった。