2014 SUPER GT Round 3 Report

【SUPER GT 第3戦/オートポリス】

ことしは6月開催のカレンダーとなったオートポリス、
「WedsSport ADVAN RC F」が2戦連続でポイントを獲得!!

SUPER GT Round 3

開催日 2014年5月31日-6月1日
開催場所 オートポリス (大分県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 65周
(1周=4,674m)
参加台数 39台
(ヨコハマタイヤ装着車 21台)
2014 SUPER GT 第3戦

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

例年9月など秋口に開催されてきたものの、今季は5月31~6月1日という早い時期に開催となった「SUPER GT in KYUSHU 300km」。
シリーズ唯一の九州での開催となる第3戦は、阿蘇の外輪部分に位置する山岳コース、大分県のオートポリスが舞台。アップダウンの激しいこのコースは、シリーズの行方を決する舞台となることも多かったが、時期的に雨や霧など、気象状況の影響を受けることも多かったが、今季は開催時期が異なり好天にも恵まれ、2日間を通じて気温30℃を超えるような暑さの中での戦いとなった。


レコードラッシュとなった土曜の公式予選。
GT500のニューマシンでの初アタックに注目が集まる中、ヨコハマタイヤ勢では関口雄飛選手がアタックした「WedsSport ADVAN RC F」は、惜しくもアタックラップの終盤、山側セクションでコースオフを喫して1分41秒401でQ1敗退となり、予選14番手に留まった。
「D’station ADVAN GT-R」はミハエル・クルム選手がQ1でアタック、赤旗中断前に1分36秒089の好タイムをマークし、見事Q2に進出。Q2では佐々木大樹選手がアタックし、1分36秒840で8番手となった。

GT300でも、従来のレコードタイムが1秒半も短縮されることとなったが、ヨコハマタイヤ勢では、このレースから14年仕様を投入した「TWS LM corsa BMW Z4」の吉本大樹選手が3番手で、まずはQ1の最上位に。
そしてQ2進出を果たした13台中9台までを占めることとなったが、開幕2連勝でランキングトップの「グッドスマイル 初音ミク Z4」は80kgのウエイトハンデを背負い、このアップダウンの激しいコースでは、いかに片岡龍也選手が激走を見せても16番手につけるのが精いっぱいで、Q2進出は果たせなかった。
続いて行われたQ2では、「B-MAX NDDP GT-R」の星野一樹選手が1分46秒551をマークして暫定トップに浮上。チェッカーを待たずピットに戻った星野選手だったが、その後に2台が1分45秒台を記録し、最終的に3番手に。4番手は「TWS LM corsa BMW Z4」の飯田章選手が獲得した。


引き続き好天となった日曜の決勝は65周の戦い。ウォームアップでトラブルに見舞われた「ENEOS SUSTINA RC F」がピットスタートとなり、GT500は14台が通常どおりスタートすることとなった。
「D’station ADVAN GT-R」はクルム選手、「WedsSport ADVAN RC F」は関口選手がスタートドライバーを担当し、クルム選手はポジションキープの8番手、関口選手はひとつポジションを上げ13番手でオープニングラップを終えるが、「WedsSport ADVAN RC F」は3周目に「ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT」を捕らえ12番手に浮上も、この後しばらくこの18号車との攻防を展開。
一方「D’station ADVAN GT-R」は4周目に1コーナー先で「PETRONAS TOM’S RC F」と接触、「ARTA NSX CONCEPT-GT」にもかわされ10番手に後退を余儀なくされる。

「WedsSport ADVAN RC F」もトラブルフリーではなく、10周目の第2ヘアピン進入でオーバーテイクを試みるも「DENSO KOBELCO SARD RC F」と接触。39号車がスピンをしたことから、後にドライブスルーペナルティーを科せられてしまい11番手まで後退。
さらに「D’station ADVAN GT-R」は接触による影響から、右リヤタイヤがバーストしてしまい21周目に緊急ピットイン。4輪を交換してピットアウトも、個々のドライバーのミニマム周回数の関係からドライバー交代できず、クルム選手が継続して走行することとなった。
前半のうちに不運に見舞われたヨコハマタイヤ勢だが、「D’station ADVAN GT-R」は佐々木大樹選手がドライブ中の47周目、車両火災に見舞われて1コーナー手前のグリーン上にストップし、完走扱いも無念の13位に。

「WedsSport ADVAN RC F」は1コーナーでのGT300車両のアクシデント発生によりセーフティーカーが導入される中、他車のピットインの間に10番手に進出。
さらに57周目のリスタート後に「Epson NSX CONCEPT-GT」をパスし9番手、さらにラスト3周のストレート上では「ENEOS SUSTINA RC F」をパスして8位でフィニッシュするなど、脇阪寿一選手が力強いラップを刻み貴重な3ポイントを獲得した。


GT300の決勝では、スタートで「B-MAX NDDP GT-R」のルーカス・オルドネス選手が鋭いダッシュを決めるも、まずはポジションキープに。そして、「TMS LM corsa BMW Z4」の飯田章選手が、ひとつ順位を落としてしまうが、5番手からレースを開始する。
それからしばらくの間、上位には大きな動きのないまま周回が進むが、4周目に11番手まで浮上するなど逆襲の期待のかかった「グッドスマイル初音ミクZ4」の片岡選手が、8周目にGT500車両のスピンに巻き込まれ、左リアのホイールが割れてしまいピットイン。大きく順位を落とすことに。

オルドネス選手は20周目にひとつ順位を落としはするが、後れを取ることなく続いて、29周目には星野選手とバトンタッチ。全車ドライバー交代を終えると、4番手をキープすることに成功する。
そして5番手に浮上していたのが、飯田選手からバトンを託された「TWS LM corsa BMW Z4」の吉本選手。その後もさらに順位を上げていくことが期待された。
そんな中、43周目の1コーナーでハブトラブルにより、「IWASAKI apr GT-R」の岩崎祐貴選手がコースアウト、ガードレールを飛び越えるほどのアクシデントが発生。7周に渡ってセーフティーカーランが行われる。その間、全車両がストレートに止められる際、「TWS LM corsa BMW Z4」のエンジンが再始動せず。なんとかエンジンは息を吹き返したが、13番手にまで後退することに。

レースが再開され、最後まで3位を目指して猛プッシュした「B-MAX NDDP GT-R」の星野選手だったが、あと一歩のところで及ばず4位。6位は細川慎弥選手と山西康司選手の駆る「クリスタルクロコ ランボルギーニGT3」が獲得し、7位には吉本選手が激しい追い込みを見せた「TWS LM corsa BMW Z4」がつけることとなった。

DRIVER VOICE

脇阪寿一 選手 [WedsSport ADVAN RC F]

【今回の成績 : GT500クラス 8位】
今季ここまでのイメージでは、後続をどれだけ抑えられるのかとか、マシンに乗るのに怖さを感じるような状況もありましたが、今回はどれだけ順位を上げてやろうか、と思えました。やはりSUGOテストでまた新しいタイヤを試し、今回持ち込んでもらったこと、そしてチームがマシンを進化させてくれたことが大きく、久しぶりに楽しいレースが出来たことをヨコハマとチームに感謝しています。
今週末出たトラブルやミスを改善し、次に勝ちを狙えるレースが来たときにバシッと決めたいと思いますし、タイヤに関してはゴムも構造も方向性が見えた手応えを感じましたね。

関口雄飛 選手 [WedsSport ADVAN RC F]

【今回の成績 : GT500クラス 8位】
39号車と接触してしまったことでペナルティーを受けてしまい、作戦面を含めてそこでレースを失ったような形でした。セーフティーカーが入ったことと、後半寿一さんが凄く頑張ってくれたことで8位を得られましたが、展開に助けられた印象が強く、自分のスティントとしては全然ダメでした。
39号車を抜きに行って第2ヘアピン進入で並んだ際、接触を避けようとブレーキング中に少し左へステアリングを切ったことでリヤが出て、逆に接触してしまって。気持ちを切り替えて決勝に臨んだつもりでしたが、やはり予選での失敗が最後まで尾を引いてしまったように思います。
次のSUGOで獲り返せるようしっかり戦いたいですね。

佐々木大樹 選手 [D’station ADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 13位】
今年のニューマシンでは初めてのオートポリスということで、全体的にうまくマッチング出来なかったというか、煮詰め切れない部分があったように思います。
予選でもQ2で自分が攻め切れなかったですし、決勝でもクルム選手のスティントでアクシデントもありましたし、最終的にトラブルが発生してしまったので……。事前に前触れのようなものはなく、最終コーナーを立ち上がったらエンジンが吹けなくて、惰性でストレートを通過したのですが、1コーナー手前で火が出てしまいました。
残念な結果でしたが、今季GT500ではアクシデントやトラブルが多いので、次のSUGOでは着実にレースを走り切るという部分に重点を置いて戦えばチャンスはあると考えています。

星野一樹 選手 [S Road NDDP GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 4位】
ヨコハマタイヤ勢では最上位でしたし、僕らの尽くせるベストは尽くせたと思います。しかし、セーフティーカーさえ入らなければ、いいペースで追い上げていたので、「GAINER DIXCEL SLS」の真後ろまで近づいていけましたが……。それがなかったら、どうなっていたか分かりませんが、SCラン後に向こうも息を吹き返してしまい、迫ってはいったものの、結局抜くまでには至らずという感じでした。
けれど、僕もルーカス(・オルドネス選手)もチームも出来るだけのことはやりましたし、その中で4位だったというだけで、持っているパフォーマンスは出せたと思うので達成感はありますね。

吉本大樹 選手 [TWS LM corsa BMW Z4]

【今回の成績 : GT300クラス 7位】
セーフティカーが入ってホームストレートで整列する際、クルマを止めた時に水温が上がると嫌だからと、エンジン止めたら再始動出来なくなってしまって。オフィシャルの人たちに押してもらった後、なんとかエンジンがかかったのですが、それで13番手まで落ちてしまいました。それさえなければ少なくとも5位はキープ出来たはずですし、その後の走りを見てもらえば分かるとおり、もう少し順位を上げられたかもしれません。
最後はかなり、僕の走りは切れていたので、ちょっと残念ですが、ようやくこのチームで初ポイントを獲得出来たので、ここからが本当のスタートですね。

TURNING POINT

連勝はストップもポイントリーダーは堅持した「グッドスマイル 初音ミク Z4」、
谷口信輝選手・片岡龍也選手のコンビは“負けて兜の緒をしめよ”

開幕戦の岡山、第2戦の富士で連勝を飾り、ポイントリーダーとしてオートポリスでの第3戦に臨んだ、「グッドスマイル 初音ミク Z4」を駆る谷口信輝選手と片岡龍也選手。
昨年も優勝したサーキットとあって、ドライバー、マシンともに相性のいいことは実証されていただけに、「狙うは3連勝、言うのは勝手だから」とうそぶいていた谷口選手ながら、80kgにも達したウエイトハンデは想像以上の足かせとなっていた。

[Photo]

本文でも触れたとおり、片岡選手の力走にもQ1突破はならず16番手に予選では甘んじた。しかし、日曜日の早朝に行われたフリー走行では8番手につけ、なおかつコンスタントにタイムを刻んでいただけに、
「さすがに3連勝というのはおこがましいですが、少なくとも片手(5位以内)は狙いたいし、狙えると思います。僕らが得意な戦略も、しっかり駆使すれば」と片岡選手は語っていた。
実際、決勝がスタートするや、片岡選手はわずか4周で5ポジションアップに成功、そのまま順位を上げることが期待されていた。

「予想どおり、スタートしてみると意外に、それなりのレースができそうな感触はあったんです。それなのに、第2ヘアピンで僕の内側でGT500同士が接触して、スピンしたクルマが僕に突っ込んできて。それでホイールが割れて、ピットインを余儀なくされました」と片岡選手。

そのため、大きく順位を落とすもペースは上位と大きく変わらず、それは谷口選手に代わっても同様だった。着実に順位を上げつつあったものの、その最中にセーフティーカーが。
「せめて1点でも、と思っていたところにセーフティーカーが入って(周回遅れだったこともあって)、もう0点以外にないレースになってしまいました」と谷口選手。続けて「今回はとにかく流れがなかったですね、片岡がもらった事故もそうだし、セーフティーカーがあそこで入ったことも」と不運な流れを嘆く。

しかしながら、依然としてポイントリーダーの座をキープできたこともあり、「今回こそアンラッキーな展開でしたが、まだランキングのトップにはいるので、ヨコハマと力を合わせて最後までトップをキープできるよう頑張ります」と片岡選手が語れば、「別に緩んでいるわけじゃないですが、こういう恥ずかしいレースが続くとチャンピオンシップは戦えないから、もっと気を引き締めろって言われているんだと思います。関係者、ファンの期待に応えるためにも、もっと頑張ります」と谷口選手も力強く語ってくれた。

ENGINEER VOICE

藤代秀一 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル SUPER GT開発統括]

前回の富士には新しいタイヤを持ち込み、それなりの成果を上げることが出来ましたが、我々はオートポリスのテストに参加していないので、富士の第2戦後に行われたSUGOテストでの内容を盛り込んだ、また新たなタイヤを準備しました。
GT500で言えば、より車種毎の合わせ込みを進めたイメージのタイヤですが、GT500は今季のニューマシンでオートポリスというサーキットを走ること自体が初めてですし、さらにいつも比較的涼しい9月に行われていたものが、今季はこの時期の開催となり、気温などのコンディション的にも初めてということで、未知の部分も多いラウンドでした。

結果としては、2日間ともにかなり暑くなったこともポイントだったと思いますが、アンラッキーだったという印象ですが、そういった部分がなくともトップ2台と同じペースでは周回出来なかったと思います。まだまだ足りない部分がありますし、思ったほどレースラップが上がらなかった部分は今後の課題です。
ただ「WedsSport ADVAN RC F」は、後半の脇阪寿一選手のスティントで良いタイムを刻むことが出来ていたので、今後さらに暑くなって行く中でどういう方向を目指すべきか、少し見えた部分もありました。

GT300では、残念ながら表彰台を獲得することが出来ませんでした。ちょっと良いところ無く終わってしまったという印象があり、こうしたコンディションで戦えるような、しっかりしたタイヤを用意しなければならない、という思いを強くしました。

次戦SUGOではGTAのテストにも行きましたし、レース後にタイヤメーカーテストを予定しています。場合によってはGTAの鈴鹿テストを盛り込んだタイヤを用意出来る可能性もありますので、コンパウンドと構造の両面から見直して、必ず良い結果を狙いたいですね。